先日取り組んだ、リン酸吸着をテーマとした比較実験のその後について報告です。
リン酸が三価鉄と反応してリン酸鉄を生成しているならば、黄褐色の沈殿が生じ、リン酸塩濃度は減少しているはずです。
リン酸塩濃度が1.0mg/lのリビング水槽の水をビーカーに分け、鉄釘、Fe energy、メネデールを投入してから3日間が経過した後、見た目やリン酸塩濃度がどう変わったのかを調べてみました。
まずは鉄釘を投入した水槽水から。
3つの中で一番見た目が変化していたのがこのビーカーです。黄褐色というより赤褐色の沈殿が底に溜まっていました。釘のまわりにもビチョ〜ッベチョ〜ッと付着しています。これ、リン酸塩というよりも只の錆(酸化鉄)のように見えなくもありませんね・・。
では、リン酸塩濃度はどうなっているのかというと・・。
0.1mg/l程度になっていました。リン酸塩は釘から溶け出した三価鉄によって確かに吸着されているようです。
ただ、ビーカーに入っている水槽水の量から予想するに、生成されたリン酸鉄の量は極めて少なく、とても目視では確認できないのではないかと思われます。ビーカーの底に溜まっている赤褐色の沈殿は、おそらく只の錆(酸化鉄)です。
では次に、Fe energy を投入した水槽水です。
Fe energy自体が不透明な液体だったため、ビーカーに投入した時点で水の色が黄色くなってましたが、3日経過した後も、色に変化は見られませんでした。また沈殿については、写真のようにぱっと見では何も見えませんが、目を凝らしてよく見ると底面にフワフワとした細かい粒状の固体が形成されていることが確認できました。
ではこの水槽水のリン酸塩濃度をば。黄色くなっているので計測しづらいですが、やはり0.1mg/l程度?でしょうか。こちらもある程度、リン酸塩は吸着されているようです。
では最後に、メネデールを投入した水槽水について。
こちらのビーカーもぱっと見では何も変化はないようです。しかしこちらはくわっと凝視してみても、何も見ることはできませんでした。(単に見えてないだけかもしれません、視力1.5だけど)
それでもリン酸塩濃度はしっかり0.1mg/l程度に下がってました。こちらでもリン酸塩は吸着されているようです。だとすると、目視で沈殿が確認できないのはどうしてだろう?やはり生成されているリン酸鉄の量は極少だからで、単にFe energyのビーカーで目に見えていたのは別の何かかもしれません。
まとめてみると、鉄釘・Fe energy・メネデールのいずれを投入してもリン酸吸着の効果はありました(と結論づけるには繰り返し検証が必要ですが)。
ただ、リン酸吸着についてある程度の効果があったとしても、その他の面での影響について、検証は必要でしょう(バクテリアを始めとした生体への影響など)。現に鉄釘については水槽水の溶存酸素と結合して赤錆(酸化鉄)をビーカー程度の水であんなに生成しています。あの反応が水槽規模で行われたら一体どうなるのかを考えると少し怖くなります。Fe energyやメネデールにおいても、水草水槽においては先に水草に二価鉄(Fe2+)が吸収され、吸収しきれなかった分が三価鉄(Fe3+)に変化してリン酸鉄と結合する・・・と考えると、どれぐらいの量を投入すればよいのか、そのバランスが難しくなるのではないかと思います。
生成されるリン酸鉄の沈殿物の除去をどうやって行うかも課題です。リンは餌や水道水に含まれていますので、水換えや餌やりを行う中で水槽内に蓄積されていきます。ということは鉄を加え続けることで、リン酸鉄の沈殿も増え続けることになります。長期間放置することで、吸着されたリン酸が放出されないとも限りません。
以上で、リン酸吸着についての実験の報告を終わります。
まだまだ検証が必要な点が多いものだとは思いますが、リン酸塩の濃度について頭を悩ませるアクアリストの方々にとって、一つの参考になれば幸いです。
コメントでご指摘をいただきまして、何も投入せずにペットボトルに汲み置きしたままの水槽水についてもリン酸塩濃度を測ってみることにしました。
その結果は、下の写真の通り0.1mg/l 程度。こちらもリン酸塩濃度は減少していました。
なななな、なんでやねん。何も入れてへんのに。
し、失礼しました。動揺して関西弁が出てしまいました。
もしかすると、使用した水槽水の中にはもともとリン酸吸収効果のある何かが含まれていたのかもしれません。実験の3〜4日前にキャップ半杯だけ投入したメネデールが怪しいかも・・。
水槽水ではなく、マグアンプKを溶解させた水を使って実験した方が良いかも。
ま、プライベートでやってることだから、ぼちぼちのんびり考えていくとします。
というわけで、その(3)に続きます。うわーん(;;)。
この記事へのコメント
面白い実験レポートありがとうございます。
2012/03/17 Sat 17:25
どうなったか楽しみにしてました。
Do!AquaのBeClearとかもリン酸を吸着してくれる何かが入っているようです。
よくわかりませんが、白濁の液体で若干溶解されている粒子の粒が大きい気がするので、コロイドにするのかなぁとか思ってます。
あと是非次回もし実験することがあったら対照群として何も入れない水槽の水をい一緒に3日置いてみてほしいです。
早速測定してみました。
2012/03/17 Sat 18:45
楽しみにして頂いていたとは恐縮です。ありがとうございます。
BeClearみたいなリン酸吸着効果を謳った液体も、アクアリウムショップで販売されていますよね。購入したことはありませんが、白濁しているのですか。
実は水槽水をビーカーに分けたとき、別にペットボトルに汲み置いていた分がありました。38brainさんにコメントでご指摘をいただいて、早速リン酸塩濃度を測定してみました。
その結果は 0.1mg/l 程度で、こちらもリン酸塩濃度は減少していました。
・・・・何ででしょ?
もしかするとこの実験を行う数日前に投入したキャップ半杯のメネデールがまだ残っていて影響しているのかもしれません。
とりあえず、この実験は振り出しに戻した方が良さそうですね。
今回の記事に追記をした上で、その(3)に続いてみようと思います(苦笑。
早速の追加実験ありがとうございました。
2012/03/18 Sun 06:13
いや、そうじゃないかなぁと思ったので。
実験する時はコントロールも置かないとですねw。
いやあ・・・
2012/03/18 Sun 12:26
いやあ、お恥ずかしい(^^;。
何も手を加えないままなので、リン酸塩濃度はそのままだろうと高をくくってました。
今度はマグアンプKを浄水器に通した水道水に溶かして、同じ実験をやってみました。結果を3日後に見て、また記事にしてアップしたいと思います。
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