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LIFE@ Blog 映像・音楽・書籍 荒川弘「銀の匙」最終巻

映像・音楽・書籍  

 銀の匙の最終巻が発売されていますね。私は外出中にコンビニエンスストアで見かけて購入しましたよ。

 連載が始まってからもう9年になるのかな。「銀の匙」は、進学校での学力競争に疲れ果てた主人公の八軒有吾が、逃げるように進学した農業高校で、それまで触れることのなかった体験や人との交流を経て成長する主人公の姿を描いた物語。北海道の農業高校での生活を、荒川弘さんが持ち前のタッチで描いたこの作品を、我が家では単行本を通して楽しませていただいてました。

 荒川弘さんはこの作品を描き始めた当初、「主人公が高校を卒業したところまででこの作品は終わり」と決めていらして。その宣言通り高校卒業とその後を少し描いたところで連載終了となりました。裏話では、担当編集さんは大学を舞台としたお話を提案されていたようですが、「いえ、きっちり高校卒業で終わらせます」と即答されて萎れてらしたそうですね。・・・気持ちは分かります、うん。
 たまたまなのですが、出張で山口県内を回っていたときに、表紙にばーんと描かれたイラストと共に「最終回!」と描かれた少年サンデーをパーキングエリアで見かけて思わず購入したのですよ。なので最終話の内容だけ知っていたという(笑。

 前にも書きましたが、この作品の中で校長先生が主人公に投げかけた言葉が強く印象に残っていまして。

「逃げ道の無い経済動物と君たちは違うんですから、
 生きるための逃げは有りです。有りありです。」
「自分の気持ちをうまく言葉にできるから、そうして吐き出せるのだと思います。
 苦しくてもうまく本音を吐き出せない子もいるから、
 そういう子に気づいたら力になってあげてください。」
「逃げたことを卑下しないでそれをプラスに変えてこそ、
 逃げた甲斐があるというものです。」

 多様性が認められつつある今の社会の中で、人生こうでなければならない、なんてことは決してないのですが。何というか私はいつのまにか固定観念に囚われて、自分自身を束縛するようなところがありまして。その固定観念と自分を比較しては苦悩する時が、かつてあったのですよね。そんなときに出会ったこの校長先生の言葉には、えらく励まされたものです。

 荒川さんは今、「アルスラーン戦記」と「百姓貴族」と2つの作品を並行して連載されてらっしゃいますが、「銀の匙」に続く作品を作る予定はあるのでしょうか。あるのだとしたら今度はどのようなテーマなのでしょうね、とても楽しみです。



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