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LIFE@ Blog 映像・音楽・書籍 大河ドラマ『いだてん』最終回

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 NHK大河ドラマ「いだてん」が今日で最終回を迎えました。おそらく私だけではなかったとは思いますが、大河ドラマといえば時代劇という先入観があって。日本における近代オリンピック史をテーマとして、自らが生まれ育った昭和の時代が描かれるこの作品に、当初は正直戸惑いを覚えました。そして金栗四三や田畑政治、古今亭志ん生など、聞いた覚えのない登場人物に「誰なんだ」とまた戸惑い…(大変失敬)。
 しかし「あまちゃん」などの作品で知られる脚本家である宮藤官九郎氏が紡ぎ出す、軽快でなおかつ重みのあるストーリー展開に、一話一話と楽しませていただきながら、気がつけば最終回を迎えていました。この作品に触れていなければ、1964年の東京オリンピックに関わっていらした方々のご苦労や胸に秘めた思いを知ることはなかったでしょう。嘉納治五郎氏についても「柔道の創始者」としての姿しか知らなかったですし。日本でのオリンピック開催にあれほど尽力されていたとは…。
 このドラマでは歴史に翻弄されながらも、スポーツを通じて人はあらゆる障害を越えてお互いに理解ができるはずだと奮闘する人々の姿が描かれていました。その中でも特に印象的だったのが、東京オリンピックの閉会式のシーンです。本来は、開会式と同じように所属する国ごとに分かれて整然と入場するはずが、全ての競技を終えた開放感で高揚した選手達がごったがえしたまま、雑多な形で入場してしまったそうで。運営側からすれば悲劇以外の何ものでもなかったでしょうが、逆に世界から賞賛されたのですね。

「共産主義、資本主義、先進国、途上国、黒人、白人、黄色人種 ぐっちゃぐちゃにまざりあってさ 純粋にスポーツだけで勝負するんだ」

 宮藤官九郎氏が作中で田畑氏に語らせたこの台詞が、1964年東京五輪の閉会式で形になったのですよね。もう、映像見ただけで号泣しましたよ。では、現在私たちがいる社会はどうなのか。東西冷戦は終結しましたが、先進国と呼ばれる国々は自国の利益を優先するばかりで、移民排斥を主張する政党や政治家が政権を担うケースも出現しており、冷戦下と変わらずギスギスした雰囲気を私は感じています。来年に再び東京で行われるオリンピックでは、こうした壁を乗り越えられると希望をもつことができるような感動を覚えることができるのでしょうか。
 そういえば、もう出てこないのかなと半ば諦めていた、金栗四三氏に関するエピソードシーンが最後の最後で見ることが出来て良かったですよ。




「タイムは、54年8ヶ月6日5時間32分20秒3。日本から来た金栗四三、ずいぶん遅れてのゴールですが、大変な名誉であります」

 実は私、このドラマを見始めた頃に、Wikipediaで金栗氏について調べていまして、このエピソードを知って衝撃を受けたのですよ。このような人が近代日本にいて、陸上競技界の礎を築いてらしたのかと。ずっと楽しみにしていたこのシーンを、最後の最後に見ることができて本当に良かった。



 次の大河ドラマは明智光秀を主人公とする「麒麟がくる」ですね。明智光秀といえば、本能寺の変で織田信長を討ったものの、三日天下に終わった悲劇の戦国武将というイメージがありますが、調べてみると、そのルーツが土岐氏にあるなど知られていないエピソードが色々ありそうですね。色々あってスタートが遅くなるようですが、今から楽しみです。


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